贈与・相続の法律:誰が、何を、どの順で受け取るか
この講義では、贈与と相続を区別しながら、法定相続人、法定相続分、遺言、遺留分、贈与契約を順に整理します。相続では、まず相続人を確定し、その後に法定相続分や遺言の有無を確認する流れが重要です。細かな争い方や登記手続の詳細には立ち入らず、3級で必要な判断の順序に絞って学びます。
動画の視聴は会員向けですこの講で分かるようになること
相続人、法定相続分、遺産分割、遺言を順に確認できる。
- 配偶者と他の相続人の関係を順番で整理できる。
- 遺言がある場合とない場合の考え方の違いを説明できる。
- 遺留分が問題になる場面を見分けられる。
- 贈与契約と相続を別の手順で判断できる。
要点
- 相続では最初に法定相続人を確定する。
- 法定相続分は相続人が確定してから考える。
- 遺言の有無で遺産の分け方の出発点が変わる。
- 遺留分は一定の相続人に関する保護である。
- 贈与契約は生前の合意であり、相続と同じ手順で考えない。
判断のルール
- 相続の問題は、配偶者の有無と相続順位を先に確認する。
- 法定相続分の具体的な割合は受験日の法令基準日で確認する。
- 遺言がある場合でも、法定相続人の確認を省略しない。
- 遺留分は全員に認められるものと考えない。
- 贈与は契約の成立、相続は死亡による承継として区別する。
例題
例題1例題1:制度の判断
Aさんは生前に、友人Bさんへ自分の時計を無償で渡す約束をし、Bさんも受け取ることに同意しました。この場面は、相続として考えるべきですか、それとも贈与契約として考えるべきですか。
答え贈与契約として考えます。
考え方判断のポイントは、財産が移る原因です。このケースは、Aさんが生前に無償で与える約束をし、Bさんも同意しているため、当事者の合意による財産の移転です。したがって、法定相続人や法定相続分、遺言の順で考える相続ではありません。まず契約として成立しているかを見るのが正しい手順です。
確かめ問題文に『亡くなった後に承継する』のか、『生前に合意して渡す』のかが書かれているかを確認しましょう。生前の合意なら、相続ではなく贈与契約です。
例題2例題2:簡単な比較
相続人の候補として、配偶者、子、直系尊属、兄弟姉妹が考えられる場面があります。次の2つのケースで、だれが相続人になるかを比較してください。ケース① 配偶者と子がいる。ケース② 配偶者はいるが子はおらず、直系尊属がいる。
答えケース①は配偶者と子を相続人として考えます。ケース②は配偶者と直系尊属を相続人として考えます。
考え方相続では、まず配偶者の有無を見ます。配偶者は常に相続人になり得ます。そのうえで、子がいれば子が優先されます。子がいないときは、次に直系尊属を見ます。したがって、ケース①では配偶者と子、ケース②では配偶者と直系尊属という組合せになります。ここでは具体的な割合ではなく、順番に従って相続人を確定することが目的です。
確かめ法定相続分を考える前に、まず順位に従ってだれが相続人になるかを決めるのが基本です。子がいるのに直系尊属まで同時に相続人としないよう注意しましょう。
例題3例題3:誤りやすい条件確認
Cさんが亡くなり、遺言書が見つかりました。家族は『遺言があるなら、法定相続人を調べなくてもよいし、遺留分も考えなくてよい』と言っています。この考え方は適切ですか。
答え適切ではありません。
考え方遺言がある場合でも、相続の基本確認は必要です。まず、だれが法定相続人かを把握しなければ、相続関係全体を正しく整理できません。また、遺言があるときでも、一定の相続人については遺留分が問題になることがあります。したがって、『遺言があるから法定相続人も遺留分も見なくてよい』という考え方は誤りです。遺言の確認と、法定相続人・遺留分の確認は別々に行います。
確かめ遺言の有無だけで結論を急がず、①法定相続人の確認、②遺言の内容確認、③遺留分が問題になるかの確認、という順で整理できるかを点検しましょう。
よくある間違い
相続人を確定しないまま、いきなり法定相続分を考えてしまう。
遺言があると法定相続人の確認が不要になると考えてしまう。
遺留分がすべての相続人に認められると思い込んでしまう。
生前の贈与契約なのに、相続と同じように法定相続分で考えてしまう。
この講の用語
- 法定相続人ほうていそうぞくにん
- 民法の定めにより、相続する資格を持つ人のこと。配偶者の有無や、子・直系尊属・兄弟姉妹の順番を確認して判断する。
- 法定相続分ほうていそうぞくぶん
- 法定相続人が相続するときの、民法上の標準的な取り分のこと。まず相続人を確定してから考える。
- 遺言ゆいごん
- 本人が自分の財産をどのように承継させるかを示す意思表示のこと。相続では分け方の重要な手がかりになる。
- 遺留分いりゅうぶん
- 一定の相続人について、法律上保護される最低限の取り分の考え方。遺言があっても確認が必要になることがある。
- 贈与契約ぞうよけいやく
- 財産を無償で与える人と受け取る人の合意によって成立する契約のこと。相続とは別のしくみとして扱う。
章立て
- 0:00導入この講でできるようになる判断を確認します。
- 0:24中心概念法定相続人、法定相続分、遺言、遺留分、贈与契約。
- 1:10重要用語法定相続人、法定相続分、遺言、遺留分、贈与契約
- 2:10基本ルール相続の問題は、配偶者の有無と相続順位を先に確認する。 法定相続分の具体的な割合は受験日の法令基準日で確認する。 遺言がある場合でも、法定相続人の確認を省略しない。 遺留分は全員に認められるものと考えない。 贈与は契約の成立、相続は死亡による承継として区別する。
- 2:39判断手順条件を確認し、分野を特定し、制度・計算を照合してから結論を選びます。
- 3:10確認ケース1Aさんは生前に、友人Bさんへ自分の時計を無償で渡す約束をし、Bさんも受け取ることに同意しました。この場面は、相続として考えるべきですか、それとも贈与契約として考えるべきですか。
- 3:37確認ケース2相続人の候補として、配偶者、子、直系尊属、兄弟姉妹が考えられる場面があります。次の2つのケースで、だれが相続人になるかを比較してください。ケース① 配偶者と子がいる。ケース② 配偶者はいるが子はおらず、直系尊属がいる。
- 4:44確認ケース3Cさんが亡くなり、遺言書が見つかりました。家族は『遺言があるなら、法定相続人を調べなくてもよいし、遺留分も考えなくてよい』と言っています。この考え方は適切ですか。
- 6:02よくある誤り相続人を確定しないまま、いきなり法定相続分を考えてしまう。 遺言があると法定相続人の確認が不要になると考えてしまう。 遺留分がすべての相続人に認められると思い込んでしまう。 生前の贈与契約なのに、相続と同じように法定相続分で考えてしまう。
- 7:18まとめこの分野は、相続人の確定、法定相続分、遺言、遺留分、贈与契約の順に整理すると理解しやすくなります。特に、相続では『誰が相続人か』を先に決めること、贈与と相続を同じ手順で処理しないことが重要です。具体的な法定割合など法令で変わり得る部分は、受験日の法令基準日で確認してください。
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