損益通算・所得控除・税額控除:引ける順番を固定する
損益通算、所得控除、税額控除を、計算の順番に沿って整理する講義です。損失がいつでも通算できるわけではない点、所得から引く控除と税額から引く控除の違い、住宅借入金等特別控除の位置づけを確認します。年度で変わる控除額や要件の細部は受験日の法令基準日で確認する前提で、分類と判断の型を固めます。
動画の視聴は会員向けですこの講で分かるようになること
損益通算、所得控除、税額控除を計算順序に沿って判定できる。
- 所得から引くものと税額から引くものを区別できるようにする。
- 損失が出たときに通算の可否を先に確認する習慣をつける。
- 住宅借入金等特別控除を税額控除として整理できるようにする。
要点
- 処理の順番は、損益通算、所得控除、税額控除の順で考える。
- 所得控除は所得から差し引き、税額控除は税額から差し引く。
- 損失があっても、損益通算できるとは限らない。
- 名称だけで判断せず、どこから引く制度かで分類する。
判断のルール
- 損失を見たら、まず損益通算の対象になるかを確認する。
- 所得控除は税額計算前の所得を減らすものとして扱う。
- 税額控除は計算後の税額を直接減らすものとして扱う。
- 住宅借入金等特別控除は税額控除として整理する。
例題
例題1例題1 制度の分類
ある受験生が『住宅借入金等特別控除は、名前に控除とあるので所得から引く控除だ』と言っています。この判断は正しいですか。どの観点で判断しますか。
答え正しくありません。住宅借入金等特別控除は税額控除として整理します。
考え方この問題では、名称ではなく『所得から引くのか、税額から引くのか』で分類します。所得控除は所得から差し引く控除ですが、住宅借入金等特別控除は税額から直接差し引く控除です。したがって、所得控除ではなく税額控除と判断します。具体的な控除額や適用要件は年度で変わることがあるため、ここでは位置づけの判断に集中します。
確かめ名前に惑わされず、どこから引く制度かで分類できたかを確認しましょう。
例題2例題2 順番の比較
次の仮定で考えます。損益通算後の所得が100、所得控除が20、税額控除が5、税率は仮に10%とします。正しい順番で計算した最終的な税額はいくらですか。
答え3です。
考え方まず、損益通算後の所得100から所得控除20を差し引き、課税の対象となる所得を80と考えます。次に、仮の税率10%をかけると税額は8です。最後に税額控除5を税額8から直接差し引くので、最終税額は3になります。もし税額控除を先に所得から引いてしまうと順番が誤りです。この問題は実際の税率や法定額ではなく、順序を確認するための仮定計算です。
確かめ所得控除は所得から、税額控除は税額からという順番を守れているかを見直しましょう。
例題3例題3 誤りやすい条件確認
Aさんは『今年はある所得で損失が出た。損失なのだから、他の所得と必ず損益通算できるはずだ』と考えています。この考え方のどこが不十分ですか。
答え不十分なのは、損失の種類を確認せずに、損失であることだけで通算できると決めている点です。
考え方損益通算では、まず損失がどの所得に関するものかを確認し、その損失が通算の対象になるかを判定する必要があります。試験で大切なのは、『損失がある』という事実だけでは足りず、『その損失は通算可能か』を先に見ることです。したがって、Aさんの考え方は、損益通算の可否という条件確認を飛ばしているため不十分です。
確かめ損失を見た瞬間に通算できると考えず、必ず『通算の対象か』を確認する癖をつけましょう。
よくある間違い
損失が出たら無条件で損益通算できると考えてしまう。
所得控除と税額控除の引く場所を逆に覚えてしまう。
住宅借入金等特別控除を所得控除だと思い込んでしまう。
名称や印象だけで判断し、計算順序を確認しない。
この講の用語
- 損益通算そんえきつうさん
- 一定の所得で出た損失を、他の所得の利益と差し引いて全体の所得を調整する考え方です。損失なら何でも通算できるわけではありません。
- 所得控除しょとくこうじょ
- 税額を計算する前の所得金額から差し引く控除です。税額そのものを直接減らすわけではありません。
- 税額控除ぜいがくこうじょ
- 計算された税額から直接差し引く控除です。所得控除より後の段階で使います。
- 住宅借入金等特別控除じゅうたくかりいれきんとうとくべつこうじょ
- 住宅に関する一定の要件を満たしたときに、税額から差し引く控除です。具体的な要件や控除額は受験日の法令基準日で確認します。
章立て
- 0:00導入この講でできるようになる判断を確認します。
- 0:18中心概念通算の可否、主要な所得控除、主要な税額控除。
- 1:00重要用語損益通算、所得控除、税額控除、住宅借入金等特別控除
- 1:38基本ルール損失を見たら、まず損益通算の対象になるかを確認する。 所得控除は税額計算前の所得を減らすものとして扱う。 税額控除は計算後の税額を直接減らすものとして扱う。 住宅借入金等特別控除は税額控除として整理する。
- 2:08判断手順条件を確認し、分野を特定し、制度・計算を照合してから結論を選びます。
- 2:41確認ケース1ある受験生が『住宅借入金等特別控除は、名前に控除とあるので所得から引く控除だ』と言っています。この判断は正しいですか。どの観点で判断しますか。
- 3:09確認ケース2次の仮定で考えます。損益通算後の所得が100、所得控除が20、税額控除が5、税率は仮に10%とします。正しい順番で計算した最終的な税額はいくらですか。
- 4:17確認ケース3Aさんは『今年はある所得で損失が出た。損失なのだから、他の所得と必ず損益通算できるはずだ』と考えています。この考え方のどこが不十分ですか。
- 5:22よくある誤り損失が出たら無条件で損益通算できると考えてしまう。 所得控除と税額控除の引く場所を逆に覚えてしまう。 住宅借入金等特別控除を所得控除だと思い込んでしまう。 名称や印象だけで判断し、計算順序を確認しない。
- 6:30まとめこのテーマは、何をどこから引くかを順番で固定すると解きやすくなります。損失があるときはまず損益通算の可否を確認し、その後に所得控除で所得を減らし、最後に税額控除で税額を直接減らします。特に、住宅借入金等特別控除は税額控除として整理すること、損失は常に通算できるわけではないことを確実に押さえましょう。控除額や適用要件など年度差のある内容は、受験日の法令基準日で確認する前提です。
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