市場・預貯金・債券会員向け8:10

市場・預貯金・債券:金利と価格の基本をつかむ

市場・預貯金・債券の基礎として、単利と複利、実質金利、債券価格と市場金利の関係、債券利回りの見方を整理します。表面利率と利回りの違いを区別し、基本計算や比較問題で迷わない力をつけます。なお、制度改正の影響を受ける事項は受験日の法令基準日で確認してください。

市場・預貯金・債券:金利と価格の基本をつかむの表紙動画の視聴は会員向けです

この講で分かるようになること

金利・債券価格・利回りの関係を基本計算で判断できる。

  • 単利と複利の増え方の違いを説明できる。
  • 名目金利と物価上昇率から実質金利を考えられる。
  • 市場金利の変化から債券価格の動きを判断できる。
  • 表面利率と利回りを区別して比較できる。

要点

  1. 単利は元本だけに利息がつき、複利は利息にも利息がつく。
  2. 実質金利は、名目金利だけでなく物価上昇率も考えて見る。
  3. 市場金利が上がると債券価格は下がり、市場金利が下がると債券価格は上がる。
  4. 表面利率は額面基準、利回りは購入価格を含めた収益性の指標である。

判断のルール

  • 同じ元本・年利・期間なら、複利の受取額は単利以上になる。
  • 実質金利は比較の場面で、名目金利から物価上昇率を差し引いて考える。
  • 債券価格と市場金利は逆方向に動くと覚える。
  • 債券の有利不利は表面利率だけでなく、購入価格を見て判断する。

例題

例題1例題1 制度・商品の判断

市場金利が上昇したとき、すでに発行されている固定利率の債券価格は一般にどうなりますか。上がる、下がる、変わらないのうちから選んでください。

答え下がる。

考え方固定利率の債券は、発行後に利率が変わりません。そこで市場金利が上がると、新しく運用できるお金のほうが有利に見えやすくなります。すると、以前の低い固定利率の債券の魅力は相対的に下がるため、価格は下がる方向に動きます。判断の条件は『固定利率の既発債であること』と『市場金利が上昇したこと』です。この2つを見たら、逆方向の関係を使って答えます。

確かめ債券価格と市場金利は逆方向、という基本ルールを思い出せたかを確認しましょう。

例題2例題2 簡単な計算または比較

元本100万円を年2%で2年間運用します。単利と複利で比べると、2年後の受取額はどちらが大きいですか。必要なら、単利は毎年元本にだけ利息がつく、複利は前年の利息にも利息がつくとして考えてください。

答え複利のほうが大きい。単利は104万円、複利は104万400円。

考え方単利は元本100万円に毎年2万円の利息がつくので、2年で合計4万円増え、104万円です。複利は1年後に102万円となり、2年目はその102万円に2%の利息がつくので2万400円増え、104万400円になります。見るべき条件は、同じ元本・同じ年利・同じ期間であることです。この条件なら、利息にも利息がつく複利が単利を上回ります。

確かめ複利では2年目の利息計算の土台が100万円ではなく102万円になる点を確認しましょう。

例題3例題3 誤りやすい条件確認

額面100万円、表面利率年1%の債券について考えます。Aさんは100万円で購入し、Bさんは98万円で購入しました。ほかの条件が同じなら、利回りが高いのはどちらですか。

答えBさんです。

考え方表面利率はどちらも同じで、額面100万円に対する年1%という発行条件は変わりません。しかし、利回りは実際の購入価格を踏まえて考えます。同じ利息を受け取れるなら、より安い価格で買ったほうが収益性は高く見えます。Aさんは100万円で買い、Bさんは98万円で買っているため、Bさんのほうが有利です。ここで確認すべき条件は、『表面利率は同じでも購入価格が違う』という点です。

確かめ表面利率が同じなら利回りも同じ、と短絡的に考えていないかを確認しましょう。

よくある間違い

単利と複利で、どちらも毎年同じ増え方だと思い込む。

名目金利だけを見て有利だと判断し、物価上昇率を見落とす。

市場金利が上がると債券価格も上がると逆に覚えてしまう。

表面利率が高いだけで、利回りも必ず高いと考えてしまう。

この講の用語

単利たんり
元本に対してだけ利息がつく考え方。毎期の利息額は一定になりやすい。
複利ふくり
元本だけでなく、すでについた利息にも次の利息がつく考え方。期間が長いほど増え方の差が出やすい。
実質金利じっしつきんり
名目上の金利から物価上昇率の影響を考慮した金利。実際の購買力の増減を見るための考え方。
債券利回りさいけんりまわり
債券を実際に買った価格に対して、どの程度の収益が見込めるかを表す考え方。購入価格によって変わる。
表面利率ひょうめんりりつ
債券の額面に対して毎年受け取る利息の割合。発行条件として示される。

章立て

  1. 0:00導入この講でできるようになる判断を確認します。
  2. 0:28中心概念単利・複利、実質金利、債券価格と市場金利、利回り。
  3. 1:19重要用語単利、複利、実質金利、債券利回り、表面利率
  4. 2:10基本ルール同じ元本・年利・期間なら、複利の受取額は単利以上になる。 実質金利は比較の場面で、名目金利から物価上昇率を差し引いて考える。 債券価格と市場金利は逆方向に動くと覚える。 債券の有利不利は表面利率だけでなく、購入価格を見て判断する。
  5. 2:48判断手順条件を確認し、分野を特定し、制度・計算を照合してから結論を選びます。
  6. 3:31確認ケース1市場金利が上昇したとき、すでに発行されている固定利率の債券価格は一般にどうなりますか。上がる、下がる、変わらないのうちから選んでください。
  7. 3:55確認ケース2元本100万円を年2%で2年間運用します。単利と複利で比べると、2年後の受取額はどちらが大きいですか。必要なら、単利は毎年元本にだけ利息がつく、複利は前年の利息にも利息がつくとして考えてください。
  8. 4:58確認ケース3額面100万円、表面利率年1%の債券について考えます。Aさんは100万円で購入し、Bさんは98万円で購入しました。ほかの条件が同じなら、利回りが高いのはどちらですか。
  9. 6:11よくある誤り単利と複利で、どちらも毎年同じ増え方だと思い込む。 名目金利だけを見て有利だと判断し、物価上昇率を見落とす。 市場金利が上がると債券価格も上がると逆に覚えてしまう。 表面利率が高いだけで、利回りも必ず高いと考えてしまう。
  10. 7:22まとめこの回の軸は4つです。単利は元本だけ、複利は利息にも利息がつくこと。実質金利は物価上昇率を加味して考えること。債券価格と市場金利は逆方向に動くこと。表面利率と利回りは同じではなく、購入価格を含めて利回りを判断することです。細かな商品知識に広げず、この基本関係を正確に押さえることが3級対策では最優先です。制度面で更新があり得る事項は、受験日の法令基準日で確認してください。
FP3級(3級FP技能検定)の学習を続ける

講義・過去問・暗記カード・模試まで、同じ論点でつながっています。

登録は1分・クレジットカード不要。無料のまま練習・暗記カード・模試まで使えます。